1004 THE SILENCE OF THE LAMBS

難易度★★★★★
著者:Thomas Harris
約350ページ


若い女性の皮を剥ぐのが特徴の連続猟奇殺人犯と、それを追うFBI。解決の鍵を握るのは、患者9人を次々と殺害し収監されている精神科医、Dr. Hannibal Lecter(人食いドクター・レクター)と呼ばれる男だけ。暗闇の中でLecterと二人きりの対面を果たしたFBIアカデミーの訓練生Clariceに、「犯人は今度は頭皮を剥ぐ」とLecterは予言する。
Jodie Foster主演で大ヒットした映画「羊たちの沈黙」の原作であるハード・サスペンス。

かなり心臓がキューッとなります。読書の醍醐味を堪能させてくれる一冊。映画は大ヒットしましたが、あれで満足してしまってはいけません。
残虐な殺人シーンと推理劇も確かに大きな魅力なのですが、本当に鳥肌が立つのは、
Lecterが冷徹さと猟奇性と背中合わせに持つ、洞察力と知性。異常者として外界から隔離されているLecterが、一目で誰よりも深くClariceの闇を理解し、彼女と自らを「自由」へ導いてゆく過程が実に鮮やかに書かれています。(二人の対話の中で明らかになる、タイトルの意味にも注目)
犯罪心理学や法医学の用語などが多数出てくるので、初心者には難しいでしょう。でも、辞書を片手にでも、いつかはきっとチャレンジしてほしい。頑張って読むだけの価値は絶対にあります。映画は原作と違う部分もかなりあり、原作だけが持つ恐怖、迫力、魅力を、ぜひ味わってほしいと思います。
ポイント:猟奇的なシーンは、読んでいて思わず「ウェーッ」という顔になることがありますので御注意を。(電車内で人と目が合うと、かなり恥ずかしい)


1005 NATIVE SON

難易度★★★★
Richard Wright
約460ページ


人種差別が厳しい1930年代のアメリカ。シカゴに住む黒人の不良少年Biggerは、更正の一環として、篤志家と言われる白人事業家の家へ住み込みの使用人として雇われる。勤務初日にその家の一人娘を誤って殺してしまったBiggerは、考えついた唯一の方法で遺体を隠し、それまでの生活を続けようとするが…。

この本は、読む人に「差別は良くない」「こんなのひどい」「かわいそう」などとは思わせません。それは傍観者の感想だから。そのかわり、あの時代に黒人として生きる行き場のなさに、読んでいるこちらまでが、圧迫感と救いのなさを感じ、惨めな気持ちになるのです。
殺し、隠し、逃げる。彼の心の動きを追う綿密な描写がこれでもかと続き、感情移入なんてものではなく、
Biggerは私自身となりました。差別を受ける人間の、しかも黒人の目に、世界はこう見えているなんて。それは全く初めての体験で、本を開くたびに、じっとりと汗をかきました。同情や正義感など、付け入る隙のない作品です。
ポイント:あちこちに出てくる黒人訛も、字のとおりに音を拾えば大丈夫。
Awright.All right.
Naw.No.
Yessuh.Yes, sir.