第20回『見える、見えない、見せる、見せない』
(2003_09_26)
 「誰かに似てるなあ」
 初対面の人によく言われる。特にこれといって特徴のある顔ではないので、ほとんど毎回「うーん、誰だっけなあ」で終わってしまう。
 が、たまーに、ハッキリと「〜に似てる」と言われることがある。会社員だった数年前、同僚に「ミッフィーに似てる」と言われたときは驚いた。あの、口がバッテンのうさこちゃん。ほんとに?雰囲気が似てるんだそうで。そりゃ、瓜二つっていうのは、ねえ?あっちはうさぎだし。
 で、ついこの前、新たな「似てる」話が持ち上がった。今度は、紀州犬ときた。それも、「まっすぐにいこう。」(作者・きら)という大人気少女漫画に登場する、はなこちゃんという白い紀州犬に似ているのだとか。「もう、会ってすぐに思った」って。
 読んだことないけれど、ちょっとネットで検索してみたところ、普段はちょっとトボケてて、たまにすごいことを言う犬らしい。(漫画のファンの方、気分悪かったらごめんなさい)
 ミッフィーとはなこちゃん。どっちも動物。「誰かに似てる」と言う人が結局誰も思いつけないのは、それが人間じゃないからなの?

 ミッフィーとかはなこちゃんとか、どうも「ほんわか系」だけど、それはなんだか不思議。意外で、でも嬉しい。私自身、自分はいびつで、どっこもほんわかしてないと思っているから。
 人の目から見た自分って、ほんとに意外。でも、私が思う私って、結局はたった一人が思う私であって、私以外の人が思う私が、数の上では圧倒的に勝っている。ということは、どっちが本当の私かなんていうのは事実上は意味がなく、うさこやわんこの私が、実際に世の中を渡っていく私。これも不思議な話。
 万が一私が家に着くやいなや、うさこやわんこの着ぐるみを「あちー。やってらんねーや」と脱いでいたとしても、バレなければ、関係ない。

 世の中、という意味では、私が実際に会う人よりも、私の書いた物を読む人の方が、これまた圧倒的に多いわけで。読んでる人達は、きっと「ほんわか」なんてちっとも感じてないんだろうと思う。でもこれも、私が思う読まれ方とは、全然違うんだろう。
 生身の私を知っていて、初めて私の書いた物を読んだ人は、多かれ少なかれ驚く。「あんなこと考えてるんですか」なんて言うし、「親だって読むんでしょう」とか「あんなこと書いて大丈夫なんですか」ともよく言われる。大丈夫、です。私には、2種類しかない。誰にも言う気がしないことと、それ以外。

 そうそう、人の考えてることなんて、外からはなかなか分からないもの。私は、聞かれれば、ほぼ何でも答えるんだけどな。誰も聞いてこないから誰にも知られない、そういうことって、誰にもたくさんあると思う。表には出ない自分自身って、ただそれだけのことなのかもしれない。
 だけど本当は、求められなければ表現しないなんて受け身の姿勢だと、周りにいいように解釈されて終わり。だからといって押し出しすぎると、誤解を招く。
いわゆる「人気者」って、そのへんのバランスがうまーく取れてる人なんだろうな。見せどき、隠しどきを心得ている人。
 私はそんな器用にはやれそうにない。これからも自分の気分と都合だけで、見せたり隠したりしていく。それでうさこに見えたり、ましてや損するようなことがあったとしても。


追加事項1
 ちょうどいい機会なので、お願いをひとつ。なぜか多い「隠れファンなんですぅ」と言ってくださる皆様へ。隠れないで、ドーンと表に出てください。私のために。

追加事項2
 もうひとつ。本はもちろん、このサイトを訪れた知人や編集者からは、「意外と面倒見がいいんですね」と言われる。「意外と」っていう言葉が引っかかるんですけど…。やっぱり意外なんでしょうか?