第11回『真夏の夜の夢 死への導き』(2001_08_11)
 私が今朝見た、夢の話です。

 ずうっと続く、誰もいない一本道を私は歩いていました。すると、足元に小さな犬がまとわりついてきた。かわいい目をして、どこまでもついてくる。しばらく仲良く一緒に歩き、私は犬を胸に抱き上げました。すると、犬は私の頬をなめたかと思うと、腕の中であっというまに朽ち、肉の下からあばら骨が現れ、かわいい顔も、目はひからびて、歯茎がむき出しの死骸になってしまいました。私が抱き上げたりしたから。
 驚いて悲しくなって辺りを見回すと、白いシャツを着た見知らぬ少年が立っていました。私は言葉も出ないまま腕を差し出し、彼に犬を見せました。何か言ってほしくて。私のせいだと知りながら、そうは思いたくなくて。
 少年は、「あなたはその犬を救ったんだ」と言いました。「あなたには力がある」と。「その犬はもう死んでいたんだ。魂がこの世の命に終わりを告げても、肉体が朽ちない限り、死は来ない。あなたのおかげでその犬はやっと本来の姿になって戻っていったんだよ」と彼は言い、私なら死にたどりつけないでいるものを導くことができる、と告げました。そんなことを言われても、私には分からない。分からないのに。
 ふと見ると、いつのまにか私の足元には、犬や猫や馬や狼や鳥や、中には人までもがたくさん集まっていました。そのどれもが愛情いっぱいの目で私を見上げ、私に抱き上げられるのを待っていたのです。こうなる前に出会いたかったけど、ここでしか出会えない定め。
 私は泣きながら、その一つ一つを次から次へと抱き上げては、腕の中から命の輝きが消え、ただの腐肉になるのを見届け、再び地面に下ろしていきました。
 出会えたばっかりなのに、どうしてこんな形で別れていかなければならないの?私が与えてあげられる愛情は、この世から送り出してあげることだけなの?私をそんな目で見てくれるのは、私と別れていきたいから。それが私の役目なら、願いを叶えてあげなくてはなりません。

 いつの間にか私は再び深い眠りに戻り、目が覚めたときにはその空気感だけが残っていました。みんなはどこへ「戻って」いったのでしょう。肉体を持ってこの世で生きるのは、やっぱりつらいことなのでしょうか。息つく暇もないほどの死の連続なのに、それぞれがおぞましいほどの変化の過程を見せつけて、それでも最後には私に愛情を残していったと私が感じたのは、なぜなのでしょうか。