第3回『ちょっと脱いでください』(2001_04_21)
 友人が成田空港で全裸になった。というか、させられた。
 ロンドンでロック三昧の日々を楽しんだ彼は、現地で知り合った某有名音楽ジャーナリストと仲良く帰国、しかし成田空港で何故だかワッと職員に囲まれ別室に連行された。

 部屋には彼と女性職員が数名。「ちょっと荷物を開けますね」「ちょっと一枚脱いでください」と身体検査が始まり、女性達が遠巻きに見守る中「ちょっと、もう一枚脱いで」「じゃ、ちょっともう一枚」
 ちょっと、ちょっと、と言いながら強引なお姉さん達。彼はあれよあれよという間に丸裸。もちろん「なぜですか」と聞いたけど、女性職員は冷たく一言、「言えません」でおしまい。そんなあ。
 で、あげくのはてに、「はい、そこの椅子に片足あげてください」。抵抗できる雰囲気ではなく、彼がおずおずと足をあげると、女性は後ろにまわってしゃがみこんだ。そんときは、ものすごく心ぼそーい気持ちになったとか。で、彼女は、彼が中に何か入れていないか調査。

 あの何とも言えない感じは一生忘れないなぁ、と暢気なことを彼は言っているけど、私だったら耐えられん。異性数人がみつめる中ひとり全裸で片足あげ&おしりチェックですよ。理由も分からないままに。どっこも怪我はしてないけど、それって立派な暴力だ!
 あのすました成田空港のどこかで毎日そんなことが行われているなんて…。(ちなみに、女性の取り調べも女性が行うそうです)
 職員の気が済んだところで「はい、お疲れさまでした」となったらしいけど、頭が混乱したまま服を着て部屋を出た彼を、音楽ジャーナリストが待っていた。
 「いやあ、わりい。俺むかしチョコ(大麻)持ってて捕まったことがあってさあ。って言ってもたった100gだったんだけどなあ」
おーい、おいおい!

 ま、それで取り調べの謎は解けたわけだけど、一つ疑問が残る。取り調べの理由を聞く彼に職員が「言えません」と言ったのは、過去に罪を犯した人の人権保護ってやつなの?でも、わけも分からず全裸で片足あげさせられる人の人権はどうなる?優先順位が間違ってないか?
 未成年の犯罪や死亡交通事故の裁判なんかで「日本の司法や警察は犯罪者の人権保護には熱心だけど被害者に対しては配慮がない」とかってよく聞く。これもそういうことなんだろうか。それって、あんまりだ。
 まったくもう。この国では、ヘンな事件に巻き込まれないようにくれぐれも気をつける他ないの?(って言ったって、限界があるよう。うー、やだやだ)