第1回『「OL→ライター」に必要だったのは』(2001_04_06)
 はじめまして。多岐川です。
 フリーライターになる前、私はOLしながら某ライタースクールに通ってました。学校に行ったからって文章はうまくならないってことは、入ってみて初めて分かるんだけど、OLがいきなりライターになるには文章力以前に取り組まねばならない課題が…。

 あのころ、宿題として毎週かかさず書かされたのが、「今週のイベント」なるもの。イベント会場でやるようなのじゃなくて、私的なイベントについて。でも、これがなかなか書けるもんじゃない。20〜30代の女性ばっかり30人ほどのクラスメートは皆、最初の回に「エステに行きました」とか「カフェに行きました」などと書いた。私も、確か一回目はゲルマニウム温浴で大汗かいて体内の毒を出したなんていう話。うう。

 「アンタ達って、そんなことが人生のイベントなわけ?」と先生は失望ありありの呆れ顔。「つまんない人生送ってるから書くものもつまんないのっ」と一年間言われ続け、私達は自らの生活に小さな仕掛けを幾つも作る術を覚えていったのです。

 文章うまけりゃライターになれるってのが私達のそもそもの勘違い。ライターはサービス業。悲しい話を書くにしろ、楽しい話を書くにしろ、読み手と出版社(+取材対象)を喜ばせるのがお仕事。でも、誰かを喜ばせたいと思うなら、自分が心から喜ぶことを知っていないと話にならないのでした。

 かくして私達の「今週のイベント」は、「昔の恋人に会ったら車椅子に乗っていた」「新宿2丁目でオカマと一緒に泣いた」「セックスレスすれすれ夫婦返上を目論んで失敗」等、回を重ねるごとにどんどんエスカレートすることに。(サービス精神は、ちょっとベクトルがずれると露出競争に向かいます)

 あなたは何が嬉しいの?楽しいの?と自分を試し、せっせせっせと自分を喜ばせ続けていると、人は確かに変わっていく。結果、私はライターになりました。心から喜ぶことができるようになると、振り子の振り幅が大きくなるので、つらいこと悲しいこともダイナミックになってくるけど、それもまた自分への贈り物なんでしょう、きっと。がんばるしかないです。ね。

 今後とも、おつきあいのほどをよろしくお願いいたします。